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「エスペラントの今」第23号:広島・長崎の心を世界へ

広報委員会 2021-08-03

シリーズ「エスペラントの今」第23号

エスペラントの現状を様々な面からご紹介するシリーズの第23回目をお届けいたします。ご質問、取材問い合わせ等は、当協会広報委員会までお願いします。

広島・長崎の心を世界へ

人類史上初めて原子爆弾による被害を受けた 広島・長崎。その経験を語り継ぎ、多くの人に伝え、おなじ過ちを繰り返さないようにという願いを後世に伝えようとする活動が、いまも途絶えることなく続いています。単なる記録にとどまらず、随筆、写真集、映画、小説、絵本、マンガなど様々な形式で出版・公開されたことで、実際に起きた事実であること、犠牲になったのは普通に生活をする一市民であったことなどが、知られるようになりました。

戦後、まもないころから、諸外国にも発信すべく、日本各地の有志が、エスペラント語に訳し、いちはやく世界に知らせる活動がありました。

『はだしのゲン』エスペラント語版
(初版1982年、第2版1985年)

エスペラント語に翻訳出版されたものは、1950年の「ピカドン」に始まり、「妻の屍を抱いて」、「千羽鶴」、「原爆体験記」、「広島長崎原子爆弾の記録」、「水をください」、「デルタの記」、「この子たちの夏」など40冊近くにのぼっています(「原爆関係のエスペラント図書」エスペラント/La Revuo Orienta誌2021年8・9月合併号)。こういった出版は、いまも継続されています。

多くの言語に翻訳されたものでは、「原爆の子」(14言語)、「はだしのゲン」(24言語)が著名ですが、いずれにおいてもエスペラント語での出版もおこなわれています。

無名のボランティアたちが、協力しあって翻訳をし、版下を作り、印刷、製本、発行までのすべての工程を行いました。インターネットも携帯電話も無い時代からです。原動力となったのは「エスペラント語を活用することでより多くの世界の人に経験を伝えたい。同じあやまちを繰りかえさないように」という同じ一つの思いでした。

広島には、広島エスペラントセンターがあり、長年被爆体験をエスペラント語による語りで発信してつづけています。広島を訪れる多くの外国人のエスペラント仲間たちが、より深く知ることができる場となっています。横浜のエスペラント博物館よこはま(2021年4月開館)では、センターで所蔵する資料や図書の寄贈をうけ、公開展示の準備が進んでいます(一般市民向け公開はコロナ禍のため11月頃の予定)。

9月18日から20日まで広島で、「広島の心を世界へ」をテーマに、オンラインで開催される、第108回日本エスペラント大会でも、被爆者の体験や原爆投下の日の話などをエスペラント語で発信されます。多くの海外からの参加が見込まれています。


リンク:PDFファイル(202KB)
「エスペラントの今」これまでの発行分

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