「エスペラント / La Revuo Orienta」 1997年1月号掲載

何の役に立つか、知っているとどんな得があるか

エスペラントも一つの言語であるから、 「英語を知っていると何の役にたち、 どんな得があるか」という質問に対する答えと、 本質的には同じ答えしかないはずである。 しかし、国際語という強みがあるから、 英語支配の国以外へ行っても通用する点が英語とは違う。 けれども、地球上の人間全員がエスペラントを理解するわけではないから、 相手がエスペランティストでなければ通じないという点では 英語と同じである。

エスペランティストは現在100万人と言われており、 まだ少数だから同志的結束が固く、助け合う気持ちが強い。 Pasporta Servoというエスペランティストどうしの民宿組織はその一例である。 私自身は、旅行のときにずいぶん助けてもらったし、 趣味のシャーロック・ホームズに関する本を 34カ国のエスペランティストから180冊ほど送ってもらった。 他の言語を使っても、 クロアチア語、ウクライナ語やヘブライ語の本を集めることはできまい。

そのような実利的な面でのプラスはいろいろあるが、 その他の精神的なプラスの方がずっと大きいと思う。 国際的な視野を持つことができるし、民族差別や人類解放にも敏感になる。 邦訳のない小国の文学を読むこともできる。 生涯学習の一環として自分を啓発することもできる。 自分の自己実現に利用して、生きがいを得ることができる、など。

他の外国語を学ぶ時の、単なる語学趣味とは 一味違った面を どのように活かすことができるかは、 各個人の考え方によって大きく異なってくる。 この点、先輩エスペランティストが どのように生きたかを見れば、学ぶところが多い。

(小林司)


これは 「Revuo Orienta (1997年1月号)」の特集記事からの抜粋です。 コメントや問い合わせは 「日本エスペラント学会 ウェブ管理人」宛でお願いします。

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