「エスペラント / La Revuo Orienta」 1997年1月号掲載

エスペラントはどういう文字を使っているか

エスペラントは次の28文字(大文字と小文字)を使っています。

abcc^defgg^hh^ijj^klmnoprss^tuu~vz (以上小文字)
ABCC^DEFGG^HH^IJJ^KLMNOPRSS^TUU~VZ (同 大文字)

英語のアルファベットと比べると、 ^ と [breve] (字上符)のついた c^ g^ h^ j^ s^ u~ の6つが多く、 q w x y の4つがないことがわかります。

ただ、ここで注意したいのは、 英語は確かに日本人にとっていちばん身近な外国語なので 英語を比較の対象に考えたくなりますが、 英語はこの種のアルファベットの本家では決してないということです。 もともとは古代ロ一マの言語、ラテン語のための文字でした。 ヨーロッパの大抵の言語は それぞれの言語に合わせて新しい文字を作ったり、 文字の上下に補助符号を加えて新しい文字にしたりしたのです。

英語は、wを独立した文字としてよく使うようにしたことを除けば、 あまり変更を加えていません。 (ただし、英語の中でも Bronte" のような 固有名詞や café のような外来語では 補助符号を使うことがあります。) しかし、その一方で、英語は 文字と発音の間のとんでもない不規則性という 大きな代償を払うことになりました。

エスペラントの字上符の付いた文字は一見なじみにくく見えます。 現在のコンピュータでは扱いが難しいという問題点もあります。 しかし、これは英語以外の世界の大部分の言語についても同じことなのです。 人間にとっては、字上符のあるおかげで 一字一音、一音一字の原則が実現できていることの恩恵の方が大きいはずです。

(後藤斉)


これは 「Revuo Orienta (1997年1月号)」の特集記事からの抜粋です(一部加筆)。 コメントや問い合わせは 「日本エスペラント学会 ウェブ管理人」宛でお願いします。

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