日韓合同大会の考え方

会誌『エスペラント』2009年4月号37-38ページより転載。



 日本エスペラント学会では,2011 年の日本エスペラント大会を韓国にて,韓国エスペラント大会と合同の大会とする案を立て,これを日本側では日本エスペラント大会常置委員会に2008 年秋に申し入れて了解を得ました。それとともに,韓国エスペラント協会にも申し入れて了解を得ました。具体的な日時,場所,テーマ,番組などは今後の検討になります。ここには,この企画を発想するに至った経緯を述べます。皆様のご理解をたまわりたく思います。

0. はじめに

 日本エスペラント大会規約の前文には,本大会は「日本在住のエスペランチストを中心とする」とある。このような大会を海外で開催するにあたり,われわれはその利害得失,展望などを検討してきた。その結果をここに記す。


1. 大会の海外開催の利点

 海外開催,特に韓国での開催を次の理由で推進したい。

1.1 エスペラントを使う環境の醸成

 従来も大会中に外国人エスペランチストが参加してきたが,少人数に限られ,外国人は講演や特定の分科会出席におわりがちであった。それに対し,第92 回世界エスペラント大会(2007 年,横浜)にも見られるよう,外国人が多い環境では,エスペラントでの交流が必須となり,日常ではエスペラントを使う場面の少ない大多数の日本人参加者によい刺激となる。

1.2 民際交流の実践

 日本と韓国の間では政治的な課題がある。しかしながら,エスペラント界では,1960 年代後半から友好関係が続いており,日本大会出席の韓国人,韓国大会出席の日本人とも,友好的な雰囲気の中で過ごし,その中には真剣な討議の姿もある。よって,合同大会は民際交流の場として有益である。さらにこの姿は,マスコミなどへのアピールにもなる。

1.3 相互のエスペラント運動から学ぶ

 日韓両国におけるエスペラント運動の実践面ではいろいろな違いがある。たとえば韓国における講習会の積極的な開催はわれわれが学ぶところである。われわれの運動も韓国に刺激を与えることを期待したい。


2. 課題と対処

 海外での開催,合同大会の開催となると,各種の困難もある。これに対し,われわれの対処案も示し,課題が絶対的な障壁とならないことを示す。

2.1 遠さ

 なんといっても外国であり,国内と比べれば遠い。しかし,南北に長い日本では,北海道の人にとっては九州と同じであり,九州の人にとっては,大阪より近い。

2.2 各国独自のプログラム

 日本エスペラント大会の中には,日本エスペラント学会の会員総会のように,ほぼ日本人に限定して日本語で行なわれるプログラムがある。同様の状況は韓国側にもある。これに対しては,一定枠内を,「日本大会/韓国大会」と分けて開催するといった対処をとりたい。

2.3 大会運営の困難さ

 運営を両国の人がエスペラントを通して話し合いつつ行なう。これは,単一開催よりも効率が悪い可能性があるが,国際行事では必須のハードルである。日本側は2007 年の世界エスペラント大会の経験があり,韓国側にも世界エスペラント大会(1994) , アジアエスペラント大会(2002)の運営経験者がいる。また,具体運営は,かなり韓国側に負うところとなるが,日本側では,世界大会参加者に対するのと同様の受付業務を日本エスペラント学会が中心になり,参加者の利便を図るつもりである。


3. 他の可能性との比較検討

 合同大会を日本エスペラント大会として行なうかどうかについて検討した。

3.1 類似行事との関連

3.2 韓国以外での開催の可能性

 われわれが大会として海外におもむくのは,交流を期待している。そのためには,先方にもある規模のエスペラント運動があることが望ましい。その中で,韓国は毎年1回韓国エスペラント大会を開いているという運動面の類似性があったので候補とした。
 中国は,2 年に1 回の中国エスペラント大会を,広い中国国内の持ち回りで開催しているという事情があり,今回の対象からはずした。

3.3 日本での開催の可能性

 1 項,2 項は,仮に日韓合同の大会を日本で開く際にも同じ条件となる。今回の大会後は,日韓両者で大会の成果を検証していく。その中で,数年後の日本での開催という話題がでた場合は,その時点でのエスペラント運動家の判断にゆだねたい。

(JEI 理事長:柴山純一)


(resumo)
  JEI planas okazigi komunan kongreson de japanaj kaj koreaj esperanatistoj en Koreujo en 2011, kadre de la naciaj kongresoj ĉiujaraj de la respektivaj landoj.
  Ni montras meritojn de la plano, kaj la rimedojn por konkeri la malmeritojn.
  Ni povas havi pli da okazoj paroli nepre en Esperanto. Ni povas praktikigi interpopolan interkompreniĝon. Ni povas lerni bonajn aferojn de la alia lando.
  La kongresloko povas esti pli malproksime. Oni devas havi ankaŭ sialandajn programerojn. Estas malfacile aranĝi kaj organizi tian komunan kongreson. Tamen ni povos iel konkeri la malfacilaĵojn.
  Cetere ni pripensis, ĉu troviĝas aliaj eblecoj, ekzemple okazigi komunan kongreson kadre de la Azia Kongreso, sed ni konkludis, ke la ambaŭlandaj kongresoj kune estas la plej bona solvo.

(la prezidanto de JEI: SIBAYAMA Zyun'iti)





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