[1999年度事業計画の前文に寄せて]
理事長 柴山純一

 日本エスペラント学会(JEI)は1926年の財団法人化以来、その目的を寄付行為第 2条で「本会は国際語エスペラントの普及発展を図るを以て目的とし併せて国際語エス ペラントに依る我国文化の世界的発揚に資せむことを期す」としています。また、財団 法人化をすすめる建議書には、その必要性について、明治天皇の「五箇条の御誓文」の 一つ、「知識を世界に求め、大に皇基を振起すべし」を引用しています。このナショナ リズム (naciismo)の高揚が大正・昭和初期に文部省に法人化を求めるときのよりどこ ろと考えられます。
 ところで、財団法人は公益法人の一種です。営利団体ではなく、互助会・ギルドのよ うに会員相互の利益をもっぱら図るのでもない、広く公のための組織です。最近はNPO( 非営利団体、Ne-Profitcela Organizo)の法人化の動きもありますが、そのNPOの先輩に あたります。またNGO(非政府組織、NRO=Ne-Registara Organizo)でもあります。そうい うJEIが、なぜ21世紀に臨む今、エスペラントの普及発展を図るのでしょうか。エ スペラントが広まることで何が公の利益になるのでしょうか。われわれがよりどころと する言葉として、何が適当でしょうか。
 私はそこに、前理事長のヤマサキセイコー氏の時代にJEIが推進した「エスペラン トに関するプラハ宣言 (Manifesto de Prago)」と「世界人権宣言(La Deklaracio de H omaj Rajtoj)」の精神があると思います。ナショナリズムを越えたところ(transnaciis mo)をめざしています。
 そこで、今年度の事業計画案では重点課題の冒頭に、慣例を破って前書きを付け、上 記の明文化を試みています。もちろんわれわれの活動自身、まだこれらの精神を十分に 実践しているとはいえないでしょう。しかしながら、それはわれわれの新しいよりどこ ろとなると信じております。

財団法人日本エスペラント学会

1999年度事業計画

(1999年4月1日〜2000年3月31日)
 
  <<1999年度重点目標>>
 日本エスペラント学会の目標とする国際語エスペラントの普及・発展は,現にエスペ ラントを実践しつつある人たちの念願であるだけでなく,「人権に関する世界宣言」に 示されているように,言語の面での自由・平等を願う国民,あるいは世界市民のためで あることを認識し,我々は次のことを重点に活動する。
  1.本会の足腰の強化:
会員の増強,諸行事の統一的な展開を通じ,本会がエスペラントの普及・発展を実現す る力を強化する。
  2.アジアを中心としたエスペラント運動の支援:
第2回アジア・エスペラント大会の成功をめざし,国際語がアジア諸国で花開くことを 支援し,またそのために世界エスペラント協会などに協力していく。
  3.日本のエスペラント運動100周年をめざして:
2006年には日本の組織的エスペラント運動の100周年を迎える。本会では2000年を目標 としたJEI5カ年計画を達成するとともに,関係諸団体と協議して100周年にそなえた企画 の検討を開始する。


日本エスペラント学会の会務は、9つの部、事務局といくつかの 委員会で担われています。ここには各部と事務局の図書販売部門の 計画を掲げました。

  <<各部毎の計画>>
【総務部】
・エスペラント会館の美化・整頓
 入り口,5階(蔵書用の場所)
・人件費をふやさないで強化するために,技能の共有化をはかる。
 奉仕活動(在宅活動を含め)を広げる。
・海外旅行団を2回、国際部と連携して企画する

【財務部】
・経常収支の均衡(八ヶ岳エスペラント館の償却を除く)
・投資は元本の保全を第一義とする。
【組織部】
・会員を中心とした組織の発展
(1) 1年目会員への配慮は継続,会費更新時の葉書アンケート継続
(2) 1年目会員への図書割引サービスを継続
(3) 協議員会(支部代表者会議)などによる支部の活性化
・国内のエスペラント団体との連携を図る
・日本エスペラント大会を主催,または開催支援。日本大会常任書記(KKS)を支援。
・協議員会:4月開催。自由懇談など支部の連携を目的とする機会も設ける。
・維持員会総会:日本エスペラント大会内にて実施予定
・エスペラント運動年鑑発行:アンケートを実施し,結果集計を基本とする。
・支部報,支部キットの継続,充実
・組織部体制:部長,副部長の体制で,渉外など必要に応じ理事長に協力要請
・組織部員の適任者がいれば体制拡充を検討
・JEI主催事業を会員増に結び付ける機会と位置づけ,各部に協力要請。
・JEI後援名義の承諾の際に,活動報告文と関連写真を要求することを基本とする。
・専門団体,特に日本青年エスペラント連絡会(JEJ)との関係を重要視し支援する。

【研究教育部】
 [教育部門]
・教職員エスペラント協議会(ALE)の支援
・ILEI日本支部の活動と会員増を支援する
・エスペラント学力検定試験の実施
・学校におけるエスペラント教育の実態調査
・エスペラント全国合宿の開催
 [研究部門]
・研究発表会の開催・予稿集の発行
・研究情報公開の促進

【蔵書部】
・廃部して研究教育部管下の図書館として理事部長をおくのをやめることを維持員 回総会に提案する。
・従来の作業を続ける(計算機入力,雑誌欠号の補充)
・JEIのホームページに載せるのをなるべく早く実現する。

【出版部】
・未公開の出版物の刊行にあたる。
 ・松葉菊延「ザメンホフのことわざ成句集」(仮題)
・阪直「作文のための類義語辞典」(仮題)
 ・柴山純一「中級文法」(仮題)
 ・辰巳慶樹「UEA90年史略史」(仮題)
・新しい企画としては次のものを刊行する。
 ・"Chu vi parolas esperante?"の新装再版(カセットの他CDも)
・藤巻謙一「はじめてのエスペラント文法」の改訂新版(名称も検討する)
 ・小野忠人著,川西徹郎,Joel Brozovsky訳「命数計算」の簡易出版
・Pontolibrojシリーズの発行

【編集部】
・機関誌のエスペラント(La Revuo Orienta,RO)誌を毎号発行する。
 前期は32ページで後期は40ページを目指す
・機関誌の内容に関しては以下による。
 (1) 特集をできるだけ毎号設ける。特集は,学習,教養,運動の3つを調和よく配分 するようにする。その時々のJEIの運動と密接な関係を持たせるようにする。
 (2) エスペラント運動の現状を反映し,運動を促進する記事を掲載する。地方大会, 支部の活動をできるだけ載せるようにする。
(3) 対象を明確にした連載を考える。初級者への心配りをする。連載の対象を明確に し,特に初級者は,組織拡大の鍵になるので,その人たち向けの連載を特に配慮する。
・編集部員を10人に増員する。編集会議は月2回を原則とする。
・拡大編集会議は年1回(1月の理事会の前の土曜日)開催とする。
・機関誌に関する全員対象のアンケートを12月に実施する。この結果は新年の拡大編集 会議に生かすようにする。
・盲人会員へのテープ・サービスを継続する。

【広報部】
・エスペラント広報用資料の整備を関係者に協力して進める。
・エスペラント紹介の小冊子は今年度に全面改定へ各部と連携して準備を進める。
・リーフレットは予算の範囲内で増刷を予定する。
・講演会の開催を企画,実施する。
・エスペラント広報ハガキを20-30枚,隔月に発行する。
・エスペラントの広報活動を有機的組織的にしかも長期間に確固とした立場から実 施できるよう『長期計画』を策定する。
・インターネットを使ったJEIやエスペラントの広報を推進する。
・広報体制を長期的視野で確立するため,広報会議(仮称)開催などに着手する。

【国際部】
・世界エスペラント協会(UEA)の国別代表組織としての任務を履行し,同協会個 人会員の増加に努めるとともに,UEA各機構での本学会関係者の活動と共同する。
・同協会による「2000年キャンペーン」に対応する本学会の取り組みを国際的に広報し ,同キャンペーン推進のために協会側と調整に努力する。
・アジアエスペラント運動委員会(KAEM)と連携し,第2回アジアエスペラント大 会を成功させるための諸活動を行う。アジア支援募金への協力を続ける。
・UEAの国内デレギート(delegito)網の整備と充実に努力する。
・国際文通サービスをさらに充実させる。
・第83回世界エスペラント大会及び第2回アジアエスペラント大会参加旅行団事業に協 力する。

【販売事業】
・委託図書販売を継続する。
・日本エスペラント大会,全国合宿で出張図書販売を行う。
・エスペラント図書カタログをRO誌号外で発行する。